山田脩二

瓦師(カワラマン)/兵庫県


「人生焼きが肝心。『紙を焼き、土を焼き、自分を焼いて灰、サヨウナラ』」とは、かつて印画紙を焼き、今は瓦、炭を焼く山田さんの言葉。

人気・評価ともに高かったカメラマンが、42歳で「写真家終止符宣言」をし、20代後半から決めていた、40代で土管・瓦を焼くという思いを貫くために淡路島に移り住み、瓦製造工場の見習い瓦職人(自称カワラマン)に転職します。この転身は一見無茶苦茶で無謀にもとらえられたでしょうが、私はこの『軽やかで潔い生き方のスタイル』に惹かれるのです。

グラフィックデザイン、印刷、写真の仕事をしてきた山田さんの感性と強烈なエネルギーが、瓦の可能性を広げ、瓦素材のものを次々と生活空間に近づけてきました。山田さんの瓦素材を使用した例は、東京用賀プロムナード、草津温泉湯畑(共に設計は像設計集団)、シルバーハット(設計:伊藤豊雄)、夢舞台国際会議場(設計:安藤忠雄)、伊豆松崎長八美術館(設計:石山修武+ダムダン空間工作所)などに見ることができます。

2006年、これまでの足跡をたどった『山田脩二の軌跡ー写真、瓦、炭...展』が兵庫県立美術館で開催。2007年、第6回織部賞受賞。2008年には、地元に達磨窯(工業化される前、日本ではこの名を持つ窯で瓦は焼かれていました。現在稼働している達磨窯は日本に数基。)を復活させます。アクティブな山田さんは今日も日本のどこかに神出鬼没。

著書、写真集:『日本村1969-79』(三省堂)、『山田脩二 日本の写真家39』(岩波書店)、『カメラマンからカワラマンへ』(筑摩書房)、『瓦 歴史とデザイン』小林章男共著(淡交社)。



» 山田脩二の作品を見る
» 作家・工房紹介一覧へ戻る

山田脩二